お知らせ

令和6年度 区民公開講座「逝くという自然に向き合う~さまざまな最期を考える~」開催報告!

概要

2024年119日、中京区民公開講座「逝くという自然に向き合う~さまざまな最期を考える~」を開催いたしました。本講座には約100名の参加者が集まり、盛況のうちに終わることが出来ました。

 

講座の詳細

 開催日時: 2024年119日(土)

 会場: 京都府医師会館 2階 211号室

 参加者数: 100名

 

講座内容

今回の講座は、以下の内容で行われました。

≪第1部≫

講演   「在宅療養・看取りの実例紹介」

・訪問介護事業所 : 株式会社銭形 高橋弘江先生    住み慣れた我が家で最期を迎えたい』

・救急医 : 京都民医連太子道診療所 四方典裕先生  救急現場でのACPと看取り』

・在宅医 : おかやま在宅クリニック 岡山容子先生  『逝くという自然に向き合う』

≪第2

シンポジウム「よりよい最期を迎えるために」

最期まで自分らしく暮らし続けるために、登壇された方々が会場からの質問にお答えする形式ですすめました。
多数の質問が寄せられました。時間制限の中で、当日ご回答できなかったご質問は以下に掲載させていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

👨かかりつけ医のお願いの仕方を教えて欲しい。

慢性の病気で通院していたが以前よりは動けなくなった、介護が必要になった際に在宅療養の方向で説明をすることが多いです。
かかりつけ医については、何かのきっかけで外来に受診された方が今後ここにかかって良いですか?と言われるパターンもあります。
新たに病気が見つかれば、またかかりつけ医が決まっていくパターンもある
かかりつけ医を選ぶ時、この先生は訪問診療をしているかどうかも大きな決め手としてもらえたらと思います。

👨認知症で食事が入らなかった人はもう食べることを諦めるのですか?「加齢による自然なこと」で流すことに疑問がある。

食事を諦めるのではなく、適切な方法を見つける支援がなされます。
食材の種類や調理法を変えて食べやすいものを提供したり、栄養士と連携し適切な栄養摂取方法を相談します。
また、食べるための筋力や嚥下(えんげ)機能のリハビリを行い、摂食機能の維持・改善を図ります。
それでも食べられなくなった場合は胃瘻を造設されることもあります。「加齢による自然なこと」として放置するのではなく、
専門家の助言を受けながら個別のニーズに合わせた支援を行なっていきます。

👨医療麻酔は患者にとって苦しみを長引かすのではないのでしょうか?ガン終末期で医療麻酔処置をうけ、
病院で4日間一日中荒い呼吸を続けて亡くなりました。本人は苦しみぬいたのだと強く後悔しています。

医療用麻酔ではなく、医療用麻薬のことと思われますが、患者の苦痛を和らげるために使用されることが多いです。
荒い呼吸というのは亡くなる前の生理的な呼吸を指しておられるのだと思います。
一見苦しんでいるように見え、ご家族にとってはとても心痛むものであるとお察しします。
あなたの気持ちを大切にしながら、少しずつ前に進むことができるよう願っています。

👨終末期の延命治療は辞退したが、寝たきりになったら、早く死にたいので、ご協力願えないだろうか、教えてほしい。

終末期の延命治療は辞退され、寝たきりになったら早く亡くなりたいということですが、
日本では、安楽死や自殺幇助は法律で禁止されており、医療機関が協力することはできません。
しかし、患者さんの苦痛を和らげるための緩和ケアや、生活の質を向上させるための支援は提供されています。
あなたの気持ちを理解し、支えるための専門家がいます、その際はどうか一人で抱え込まずに助けを求めてください。

👨終末看取りの手続き方法について教えてください

在宅で最期を迎えられる場合:(意思確認ができればご本人を含め)家族で意思確認を行い、担当の主治医・ケアマネジャーに
相談して、ケアプラン(サービス計画書)に在宅でのサービス調整を組み込みます。
例)訪問看護 週2回(具体例は下記を参照ください)
訪問介護 週3回(ホームヘルパーがご家庭を訪問し介護・日常生活の援助を行う)
訪問診療 月2回(具体例は下記を参照ください)
福祉用具貸与・購入など

👨延命処置を書面で残すにはどうしておいたらよいですか。

エンディングノートが各方面より出ております。
例えば  京都司法書士会 縁ディングノート
京都市長寿すこやかセンター わたしの備えノート
長岡京市役所 高齢介護課 高齢福祉係 ~手紙~ 大切なあなたへ
全国国民健康保険診療施設協議会 生きて逝くノート

講演にありましたように思いは揺れなら変化してもいい、ご自身のタイミングでみなおされることをお勧めします。
お身内の方、信頼できる方に思いをお伝えできるとよいですね。

👨痛みがあったり苦しかったりしても家で看てもらえるものでしょうか

緩和ケア病棟を設けている病院があり、そこで最期まで痛みや倦怠感をコントロールしてもらう方法があります。
その後調整ができれば、在宅療養に戻ってもらい、また在宅で難しいことがあれば、病院へ行ったり、
自宅に戻ったりしながらコントロールすることもあります。
「すごく苦しい」と言われた時、一緒になって「しんどいんですね」という人がそばにいることが大事かなと思います。

👨 近所の方、お家でずっと看ておられたのですが、最後病院で亡くなられたと聞きました。病院に行くこともできるのでしょうか。

一度決めたら絶対在宅療養を続けなければならないことはありません。
本人やご家族が限界だなと思えば、在宅医に相談し入院する方法もあります。
入院のメリットは、ご家族が本人のつらい状態を見なくてもよいこと。デメリットは高頻度で会えなくなることをお伝えし、
結論ありきではなく、「こっちかな、あっちかな」と迷いながらと本人とご家族の思いに専門職は寄り添っています。

👨在宅看護って、どのくらいの費用がかかるのかそれが心配です。

在宅で看取りを行う場合は、介護保険での介護サービスへの支払いや医療機関への支払い等があります。
介護保険サービスをどれだけ利用されるか、負担割合が何割なのか、また、医療機関をどれだけ利用されるかによって
費用はかなり違ってきます。
例えば「独居で寝たきりの要介護5(区分支給限度基準単位:36217単位)レベルの方が、
訪問介護、訪問看護、訪問入浴、訪問診療(居宅療養管理指導)等の介護サービスを利用された場合で、
支給限度基準単位数ギリギリまで使われた時は、自己負担額が1割の方で恐らく5万円弱ほど利用料金がかかります。
また、別途、医療保険での訪問診療代等がかかります。また、介護保険サービスで支給限度額単位数を超えて利用された場合、
超えた分については、10割負担となりますので、より費用がかかってきます。

👨 老人保健施設で、寝たきりで2年5か月になります。ずっと変わらずに同じ施設に入居することが良いのでしょうか?
隣接する病院の皮膚科で2週間に1度、褥瘡(床ずれ)を診て頂いていますので。

基本的に老人保健施設は在宅に帰っていただくためのリハビリ施設となっております、
長期に入所となると個別の事案となりますので返答しかねます。
継続入所が可能な状態であれば、慣れたスタッフさんに介護をしていただける環境のままがよいかと思われます。

👨 一人住まいです、緊急時自分で電話するのですか?

あんしんねっと119(緊急通報システム)に登録すれば、緊急時に救急車や消防車、
あらかじめ登録している近所の協力員の方が駆け付けてくださいます。
但し、ご本人で通報装置の緊急ボタンをおしていただくことになります。(すこやか進行中P65)

👨身寄りがない場合の扱い、買い物依頼時の金銭の取り扱いはどうなりますか?

ご本人が金銭の取り扱いを行えない場合は、日常生活自立支援制度での生活支援員に金銭管理をお願いしたり、
成年後見制度を利用して後見人等に財産管理をしてもらう方法があります。   (すこやか進行中P70)

👨具体的にどんなプロがいるのか、どこまで補助があるのか、費用はどれくらいかかるのかなど知りたいです。また最期の時までサービスを受けることが出来るのでしょうか。

ケアマネジャーがいらっしゃる方は担当ケアマネジャーにお問い合わせをしていただければと思います。いらっしゃらない方は、
区役所の介護保険課やお住いの近くにある高齢サポート(地域包括支援センター)にお問い合わせをしていただければと思います。
京都市発行の~高齢者のためのガイドブック~すこやか進行中もご参照ください。
費用につきましては、介護保険や医療保険をどれだけ利用されるかにより、かなり違ってきます。
上記の “在宅看護って、どのくらいの費用がかかるのかそれが心配です” をご参照ください。
もちろん最期の時までサービスを受けることが可能です、ご安心ください。

👨二人住まいで主人が介護サービスの受け入れを拒否、どうしたらいいのかが現在の悩みです

難しい問題ですね、今後介護者が1人で抱え込まれることのないよう、まずは地域で暮らす高齢者の皆様を
介護、福祉、健康、医療の面から総合的に支援する高齢サポート(地域包括支援センター)にご相談いただければと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

👥👥👥在宅で受けられる医療・介護サービスの内容についての質問が多かったため、こちらに集約しております。👥👥👥

■在宅で行える医療行為として
≪訪問診療 ≫
• 定期的な訪問診療および緊急時の往診
• 内服薬の処方、管理、指導及び注射(在宅で可能なもの)
• 血液検査・尿検査、細菌検査など
• 注射、点滴の実施・管理
• 褥瘡や傷の処置
• 痛みに対するケア(がん等の痛みに対し麻薬の処方を行うなど)
• 自己注射指導管理(主に糖尿病の方に該当)
• 膀胱留置カテーテルの管理など

≪ 訪問看護 ≫
病気や障害を持った方が住み慣れた地域、ご自宅でその人らしく安心して暮らして
いけるよう支援するサービス。かかりつけ医の指示のもと下記のケアを行います。
• 浣腸・摘便
• 注射、点滴の実施・管理
• 人工肛門・人工膀胱の管理
• 気管内を含む吸引
• 在宅酸素療法の指導・援助

≪訪問リハビリテーション≫
理学療法士や作業療法士などがご家庭でリハビリテーションを行います
• 自分でトイレにいきたい、病院に通うことができないがリハビリを受けたいなど
生活に関する悩みを解決、生きがいを高めるお手伝いを行います。
訪問歯科診療
歯科医院に通院が困難な方に向け、歯科医師・歯科衛生士が自宅や施設等に伺います
• 口腔内のケアや治療
• 療養上必要な口腔ケアや治療、嚥下機能回復のためのリハビリテーション

≪薬剤師≫
かかりつけ医の指示のもと患者さんの自宅に伺います。
 医師、歯科医師からの実施指示と患者さんまたは家族の方の同意に基づいて開始
され、居宅を訪問し服薬指導や薬歴管理などを行います。

≪管理栄養士≫
通院または通所が困難な利用者で、特別食を提供する必要性があると医師が認めた場合、または低栄養状態にあると医師が判断した場合に対象となります。
 指導対象は患者または家族などです。

■介護系サービスについて
≪高齢サポート(地域包括支援センター)≫
地域で暮らす高齢者の方々を、介護、福祉、健康、医療の面から総合的に支援します。
中学校区域で担当がありますので、詳しくは区役所健康長寿推進課にお尋ねくだ
さい  中京区役所:812-0061(代)
 総合相談(その人らしい生活が続けられるようにするには何が必要で、何ができるかを一緒に考える
 虐待への対応
 成年後見人申し立て
 消費者被害防止

≪介護支援専門員(ケアマネジャー)≫
介護や支援を必要とする方が、介護サービスを円滑に利用できるようサポートします。
 ご家族・ご本人のニーズに沿って介護保険サービスでのヘルパー、ディサービス
訪問看護などを利用できるよう調整
≪訪問介護(ヘルパー)≫
ホームヘルパーがご家庭を訪問し、食事・入浴・排泄の介助や日常生活の手助けを行います。
 食事・入浴介助・排泄介助などの身体介護
 掃除・洗濯などの生活援助

 

 

 

参加者の声

参加者からは以下のような感想が寄せられました

● このテーマは繰り返しあちこちで開催してもらいたい

●  後期高齢者が元気で暮らしていくための備えのようなことを知りたい

● 在宅看護・介護の内容について詳しく知りたい

● 今後20年、病院・介護はどんな変化がありそうか

● 在宅医療の実際のケースを教えて欲しい

● 各サービスの費用が知りたい

● 夫婦2人暮らし 夫が介護の受け入れを拒否しており悩んでいる

● 在宅医の選び方・どのような医師がいるのか・探し方がわからない

 

今後の予定

区民公開講座は、次年度も開催予定しております。

 

御礼

当日は、皆様のご参加とご協力により、大変有意義な時間を共有することができました。ありがとうございました。

 

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